ADVANCEコラム

就労延長や私的年金も含めた老後資金の考え方

老後の生活資金を公的年金だけでまかなうのは難しく、不足額をどうカバーしていくかが大きな課題です。就労延長や私的年金も選択肢に入れた資金計画について、事例も交えて考えてみましょう。


近年注目される「WPP理論」

セカンドライフの資金計画について、かつては「60歳で定年を迎え、退職金と終身受け取りの年金を生活費に充てる」という考え方が主流でした。金利が高く平均寿命が短い状況下では、私的年金(個人年金保険など)を終身で設計しやすかった背景もあります。

しかし金利水準の低下や長寿化により、私的年金を終身で受け取ることは難しくなりました。老後の資金不足に陥らないために近年では、「Work longer(就労延長)」「Private pensions(私的年金等)」「Public pensions(公的年金)」を上手に組み合わせる「WPP理論」が注目されています。働けるうちはなるべく長く働き、公的年金の受給開始までを私的年金でつなぐというのが、「WPP理論」の主な考え方です。

私的年金においては確定拠出年金制度の改正が順次行われ、加入可能年齢や掛金の拠出限度額が引き上げられています。拠出する掛金の金額や期間によっては、多額の老齢給付金を受け取ることも可能な一方、どのくらいの金額を準備すれば良いのか迷ってしまうこともあるでしょう。

 

公的年金の繰下げも選択肢の一つ

資金計画の事例として、65歳からの年間支出が300万円、年間収入が公的年金による240万円というケースで考えてみましょう。100歳まで生きると想定した35年間で、毎年発生する60万円の不足額をカバーするには、2,100万円を用意しておく必要があります。
公的年金では受給開始年齢を遅らせて、その分増額された金額で受け取る「繰下げ受給」が選択できます。上記のケースで5年間繰下げて70歳から受給する場合、毎年の受給額が42%増額されて約340万円となる計算です。
繰下げによって70歳以降の年間収支がプラスとなれば、想定以上に長生きしても生活資金が不足しにくいと考えられます。一方で公的年金を受け取らない期間の支出(上記のケースでは5年間で1,500万円)を、どうやってカバーするかが大きなテーマです。
「WPP理論」をふまえた選択肢としては、65歳以降もなるべく働き、引退後は私的年金(iDeCoや個人年金保険等)を70歳までの「つなぎ」として受け取ることが基本方針となります。ただし就労延長も私的年金も、相応の検討・準備期間は必要なため、早い段階から考えておくのに越したことはありません。
上記に挙げた例では、公的年金を繰下げた方が必要資金の総額は少なくなっているものの、それが正解とは限りません。何歳まで生きるか正確に予測するのは難しいことに加え、思わぬタイミングでまとまった資金が必要となるケースもあるでしょう。
セカンドライフの計画はお金の損得で考えがちになりますが、日々をどのように過ごし、どう充実させるかの視点も欠かせません。自分がやりたいことや、ありたい姿を計画の出発点とし、そこからお金の収支を整理していくのも有効な方法と言えます。

 

 

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