ADVANCEコラム

2024年4月から施行される「医師の働き方改革」とは?

日本の健康保険制度と医療レベルは高い水準と言われますが、医師の長時間労働によって支えられている側面もあります。
現場の疲弊による医療崩壊を防止する目的で施行される、医師の働き方改革について概要を確認しましょう。


◎医師の長時間労働は依然として深刻な状況

厚生労働省発表の「令和元年 医師の勤務実態調査」によると、調査の上位10%が年間時間外労働1,824時間換算となっており、過酷な労働環境に置かれていることが読み取れます。前回の平成28年調査では上位10%が年間時間外労働1,860時間換算で、若干の改善は見られるものの深刻な状況に変わりはありません。

とりわけ救急、産婦人科、外科や若手の医師は長時間労働の傾向が強く見られます。また医療機関によっては労務管理が不十分だったり、医師でなくとも対応可能な事務作業を慣習的に行うといった、長時間労働の温床となる背景を抱えています。疲労蓄積や睡眠不足は医療過誤のみならず、医師自身の過労死リスクも高めてしまうため、早急な対策が必要です。

◎区分ごとに時間外労働の上限を規制

厳しい現状を受けて「医師の働き方改革」推進のための法改正が行われ、2024年4月から医師の時間外労働の上限規制が施行されます。具体的な区分は以下の通りです。

A (一般労働者と同程度)・・・960時間

連携B(医師を派遣する病院)・・・1,860時間※

B (救急医療等)・・・1,860時間※

C-1(臨床・専門研修)・・・1,860時間

C-2(高度技能の修得研修)・・・1,860時間

※連携BおよびBの区分は規制水準の必要な引き下げを実施し、2035年末を目標に終了。

なお月の時間外労働が100時間以上となる医師に対しては、原則として睡眠および疲労状況の確認と面接指導を行う必要があります。また休息時間を確保する目的で、連続勤務時間制限勤務間インターバル規制(または代償休息)が設定されます。

上記の時間外労働1,860時間は、毎日8時~24時まで働き、月6日の休暇を取るようなイメージです。宿直や呼び出し対応など完全に気が休まらない時間を含めれば、この上限を守ったとしても心身への負担は相当なものと言えるでしょう。

今後は少子高齢化の進行で、さらなる医療現場の担い手不足が懸念されます。目の前に患者がいる限り労働時間削減は難しい面もありますが、労務管理の徹底や事務負担の軽減等により、医師が健康な状態で業務を行える体制の整備が望まれます。

 

【参考】    医師の働き方改革(厚生労働省)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/ishi-hatarakikata_34355.html

 

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