2月中旬から3月中旬は確定申告の申告期間。自営業の方などが忙しくなるのを横目に、「自分は関係ない」と決めつけている会社員の方はいませんか。実は、会社員でも確定申告をすると税金等が還付されるケースも意外と多いのです。今回は、自営業でなくても確定申告することで税金等が還付される控除項目についてご紹介します。
会社員でも確定申告すると源泉徴収された過払い分の税金等が還付されるケースも!
そもそも確定申告って?
「確定申告」とは、毎年1月1日から12月31日までの所得にかかる税金の額を計算し、申告して税金の過不足を精算するための手続のことです。計算するにあたって、一定の金額を所得から差し引くことを「控除」といい、控除を受けると実際に支払う税金の額は軽減されます。
会社員の場合は、所得にかかる税金が給与から天引きされていて、なおかつ過不足については年末調整で精算されるので、基本的には確定申告が必要ありません。そのため、会社員の方には「確定申告は自営業などの方がするもので、会社員は特に関係ない」と認識している人も少なくないかもしれません。
ところが会社員の方でも、収入やライフイベントなどの条件によっては、確定申告をすることで税金の控除を受けられるケースがあるのです。
続いては「会社員でも確定申告をした方がいいケース」の主なものについてご紹介します。今年、ご自身が確定申告をするべきかどうか、改めて確認してみてください。
確定申告した方がいいケースは?
税制や控除の名称だけを聞いても、すぐにはピンとこないもの。ここでは「今年○○をした」という具体例別にご紹介していきます。
・新築やリフォームで住宅ローンを組んだ
一定の要件※を満たすことで、「住宅借入金等特別控除」または「特定増改築等住宅借入金等特別控除」の対象になります。初年度は確定申告が必要ですが、2年目以降は年末調整で精算されます。
・長期優良住宅の基準を満たす家を新築した
一定の要件※を満たすことで、「認定住宅新築等特別税額控除」の対象になります。
・省エネ、バリアフリーなどのリフォームをした
一定の要件※を満たすことで、「特定増改築等住宅借入金等特別控除」の対象になります。
・入院や手術などで高額の医療費がかかった
一定の要件※を満たすことで、「医療費控除」の対象になります。
・市販の医薬品を1万2千円分以上購入した
一定の要件※を満たすことで、2017年度から新設された「セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)」の対象となり、1万2千円を超える部分の金額が上限8万8千円まで控除されます。
・ふるさと納税や寄付をした
一定の要件※を満たすことで、「寄附金控除」の対象になります。ふるさと納税について「実質2000円の寄付で返礼品などがもらえる」という概要はよく知られていますが、確定申告をしなければ額面通りの寄付になってしまいますので、要注意です。「ふるさと納税ワンストップ特例制度」など手続きが簡単になる制度もぜひ利用しましょう。
・退職金をもらった
一定の要件※を満たすことで、「退職所得控除」の対象になります。
・年末調整で保険料控除の申請を忘れた
地震保険や生命保険に加入していると、支払った保険料に応じて一定額の控除を受けることができます。会社員の保険料控除は、基本的に年末調整で手続をしますが、書類が間に合わなかったり、提出を忘れてしまった方は、確定申告をすることで改めて控除を受けることができます。
いかがでしょうか。「いつも年末調整で済ませている」という方でも、確定申告が必要かどうか確認してみましょう。
※詳細は、国税庁:タックスアンサーでご確認ください。
災害や盗難などの被害に遭った方も確定申告を
災害や犯罪被害などで建物や家財に被害が及んだときは、火災保険で補償が受けられることはご存知かと思いますが、確定申告において一定の要件を満たすことで「雑損控除」の対象になります。
控除の対象となるのは、震災、風水害、冷害、雪害、落雷などによる自然災害、火災や火薬の爆発といった人為の災害、害虫被害、盗難・横領などの犯罪被害です。
また、災害によって住宅や家財に時価の半分を超える損害があるなど、一定の要件を満たすときは「災害減免法」によって、その年の所得税の軽減または免除を受けることができます。
それぞれの控除や減免措置には、「年収額」などのさまざまな条件があり、改正もたびたび実施されています。確定申告にあたっては、まず国税庁のWEBサイトなどで該当の控除制度について調べ、確認するのがおすすめです。
参考:
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