ADVANCEコラム

就業構造基本調査から読み取れる介護離職者の現状

長きにわたる高齢化の影響で、様々な社会問題が顕在化しています。いわゆる介護離職もその一つですが、直近の調査では離職者数が増加を示しました。関連のデータや制度とともに紹介します。


◎直近の調査で介護離職者は10.6万人

総務省が公表した「令和4年(2022年)就業構造基本調査」結果によると、国内で介護をしている人の数は628.8万人、そのうち有業者の割合は58.0%となっています。どちらの数字も増加傾向にあり、介護する人もされる人も高齢化している「老老介護」に加え、60歳以上で働く人の増加も要因として考えられます。

2022年10月時点における過去1年間の介護離職者(介護・看護のために前職を離職した人)は10.6万人、そのうち有業者は2.3万人でした。前回の2017年調査から介護離職者は0.7万人増加していますが、2007年調査との比較では3.9万人減少しているため、状況が改善したか悪化したかは引き続き推移を見守る必要があるでしょう。

◎さらなる施策の後押しが必要

上記のような介護離職者を増やさないために、介護休業制度等の利用促進につながる改正が段階的に行われています。2016年8月には介護休業給付金の支給率が引き上げられ(休業開始時の賃金の40%→67%)、2017年1月には介護休業の分割取得(一要介護状態ごとに1回→3回を上限)が可能となりました。

介護が必要な家族1人につき年間5日取れる介護休暇についても、2017年1月からは半日単位、2021年1月からは時間単位での取得ができるようになっています。そのほか介護のための所定外労働の免除、介護休業等の対象家族の拡大といった措置も行われ、制度そのものの利用しやすさは向上したと言えるでしょう。

しかし直近の介護離職者数が減っていないことから、改正の効果には疑問符が残ります。特に中小企業では人手不足などを背景に、未だ介護休業や介護休暇を取りにくいケースが多いのかもしれません。また、離職しなかった人でも介護と仕事の両立で、肉体的・精神的に追い込まれてしまう状況が考えられます。

 公的介護保険制度の財源確保など解決に向けた難しい問題もありますが、当事者に寄り添った環境を整えられるよう、さらなる施策の後押しが求められています。
【参照】総務省統計局「令和4年就業構造基本調査 結果の概要」
https://www.stat.go.jp/data/shugyou/2022/pdf/kgaiyou.pdf

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