ADVANCEコラム

65歳以降も働く方に老齢厚生年金の繰下げ受給という選択肢

公的年金制度において現役で働き続ける方を対象に、一定以上の収入があると「在職老齢年金制度」が適用され、繰下げ受給(原則、繰下げた月数ごとに0.7%の割合で増額)を選択しても、その支給停止部分は増額の対象外となるという課題がありました。

直近の制度改正では支給停止の基準額引き上げにより、支給停止に該当しない方が大きく増える見込みです。そこで今回は、「在職老齢年金制度」の仕組みと「繰下げ受給」との関係について解説します。


  • 「在職老齢年金制度」の支給停止調整額が65万円に引上げ

そもそも「在職老齢年金制度」とはなんでしょうか。これは働きながら一定以上の賃金を得ている場合に、老齢厚生年金の一部または全部が支給停止となる仕組みで、基本月額(報酬比例部分の年金月額)と総報酬月額相当額(その月の報酬月額+その月以前1年間のボーナスの合計/12月)の合計が支給停止調整額(令和8年度は65万円)を上回る場合は、上回った額の2分の1が支給停止となります。

支給停止調整額について、昨年度の51万円から65万円へと一気に引き上げられました。その結果、これまで「収入が一定額を超えるから、繰下げ受給を申請しても増額の対象外だし意味がない」と感じていた方でも、今回の基準引き上げによって支給停止に該当しないケースが大幅に増えることになります。

つまりこれまで繰下げのメリットを十分に享受できなかった層にも、繰下げ受給が現実的な選択肢として開けてきたということです。

 

  • 繰下げ受給の3つの注意点

繰下げ受給は年金額を増やすメリットがありますが、以下のように注意しなければならない点もあります。

(1)加給年金額は繰下げ待機期間中受け取れない

昭和18年4月2日以降生まれの方の令和8年度配偶者加給年金額は423,700円なので、配偶者の年齢要件等を満たしていても3年間繰下げを行った場合は、約120万円を受け取れないことになります。

(2)受給総額が逆転する時期を把握する必要がある

例えば65歳で年金を120万円受け取れる場合、5年繰下げると600万円を受け取らないことになります。70歳から42%増額された年金を受け取るとしても、受給総額が逆転するのは81歳11カ月以降です。

(3)増額により税・保険料が増える可能性がある

医療保険・介護保険の保険料、所得税・住民税が増える場合があります。

 

繰下げ受給を希望する場合は、まず「繰下げた場合の年金額はいくらになるのか、受給総額が逆転するのはいつになるのか」など、最寄りの年金事務所等でご相談することをお勧めします。

 

【参照】日本年金機構「年金の繰下げ受給」

https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/roureinenkin/kuriage-kurisage/20140421-02.html

 

 

 

 

 

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