ADVANCEコラム

法人版事業承継税制の特例措置に関する留意点

会社経営を後継者に引き継ぐ事業承継は、特に中小企業の大きな課題となっています。引き継ぎをスムーズに行うためには、法人版事業承継税制を利用することもポイントですが、手続きできる期限など留意点があります。改めて制度の内容を確認しましょう。

法人版事業承継税制とは、後継者である受贈者・相続人等が、「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」の認定を受けている非上場会社の株式等を、贈与または相続等により取得した場合に利用できる制度です。制度にもとづき取得した非上場株式等に係る贈与税・相続税について、一定の要件で納税を猶予するほか、後継者の死亡等により猶予されている贈与税・相続税の納付が免除されます。

平成21年度税制改正により創設された制度(一般措置)は、納税猶予の対象となる非上場株式等の制限(総株式数の3分の2まで)や、80%の納税猶予割合など使い勝手の悪さが指摘されていました。それを受けて平成30年度税制改正で非上場株式等の制限撤廃、納税猶予割合100%への引上げが行われた制度(特例措置)を選択できるようになりました。

特例措置の適用を受けるためには会社の業種など要件を確認のうえ、後継者や承継時までの経営見通し等が記載された「特例承継計画」を策定しなくてはなりません。次に認定経営革新等支援機関(税理士、商工会等)の所見を記載し、令和5年3月31日までに都道府県知事に提出します。この「特例承継計画」の確認を受けることによって、法人版事業承継税制の特例措置を選択可能になります。

その後は実際に非上場株式等の贈与・相続等を行いますが、適用期限は平成30年1月1日~令和9年12月31日の贈与・相続等と定められています。また、贈与税の申告期限までの間に一定の書類を税務署へ提出し、猶予される贈与税等の額に見合う担保を提供するといった、事務面での負担にも留意が必要です。

したがって制度を利用するかどうかには慎重な判断を要しますが、贈与や相続の段階で課税されることと比べれば、経営面のメリットは大きいと言えるでしょう。「特例承継計画」の提出期限である令和5年3月31日まで、あと2年余りとなっているため、事業承継を予定している中小企業は早目に検討を進めた方が良いかもしれません。

 

参考:国税庁「非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(法人版事業承継税制)のあらまし」

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sozoku-zoyo/201905/01.pdf

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