ADVANCEコラム

【整体のプロから学ぶ!】ケガをしない体の使い方

レジャーに出かける方が多いこの季節、ゴルフやボウリング、ハイキングなどの軽いスポーツを楽しまれる方もいるかもしれません。「これくらいの運動でケガはしないだろう」とつい考えてしまいがちですが、体を動かすとなれば、やはりケガを防ぐための備えが欠かせません。今回は、雑誌やTVでも活躍されている、スポーツ整体「廣戸道場」主宰の廣戸聡一さんに、ケガをしない体の使い方を教わりました。


廣戸 聡一さん

スポーツ整体「廣戸道場」主宰。一般社団法人「レッシュ・プロジェクト」代表。日常生活やスポーツでの身体動作、食事やトレーニングの指導に定評。健康改善から競技でのパフォーマンス向上までを幅広くカバーする総合アドバイザーとして雑誌やテレビでも活躍する整体施療家


 

どんなスポーツでも「ケガをしない体使い」の基本は同じ

-ゴルフなどの軽いスポーツで起きがちなケガの予防法を教えてください。

競技別の傾向や対策があるかのようによく言われるのですが、実はすべての運動において「ちゃんと立つ」ことが、ケガを予防するための基本になります。具体的には、自分なりの安定した姿勢を知り、体幹部を柔らかくしなやかに動かすことがポイントです。

 

-特定の筋肉を鍛えたりするのではなく、まずは姿勢や動かし方なのですね。

例えば、赤ちゃんは手足の力だけでは体を支えるのが精一杯ですから、体幹を使って体全体でハイハイします。これが、バランスの良い本来の動き方です。ところが、筋肉がついた大人は、背骨をまっすぐ固めて手足の力だけで動きがち。バランス良く動けていないため、無理が生じてあちこちを痛めてしまうのです。

 

安定して立ち、体幹を柔らかく使うとしなやかに動ける

-「ちゃんと立つ」のは、背筋を伸ばしてまっすぐ立つのとは違うのですか?

異なります。背筋を無理に伸ばすと、肩と腰に力が入った状態になってしまいます。頭と足元を自然に揃えて、体幹部など「間の部分」は常に自由に動かせる状態でリラックスして立つのが「ちゃんと立つ」ということです。

 

実際にやってみましょう。シートの上に足をぴったり揃え、背筋を伸ばして立ってみてください。この状態で急にシートを引かれると当然ぐらつきますし、腕を動かしてバランスを取ろうとします。

 

今度は、左右の土踏まずの間に、自分の指2本分くらいの幅を空けて立ちます。土踏まずは半円形をしていますから、「左右の土踏まずの下に丸い空間ができている」とイメージします。実は、この丸い空間の直径は、頭蓋骨と胴体のつなぎ目にあたる「頭蓋底」の直径と同等の幅になっているのです。

このボトムとトップ、土踏まずの間と頭(頭蓋底)が一直線に揃った状態でちゃんと立てていれば、急にシートを引かれても体はぐらつきません。たとえ胴がぐにゃぐにゃしていても、手を広げてバランスを取ることもありません。

-すごい!特に力を入れた意識もなかったのに、踏みとどまれました。

こうしてちゃんと立っている状態だと、体が自然とバランスを保ってくれますし、例えば腕の可動域も、体全体を使って腕を動かすのでぐんと広がります。同様に、呼吸も大きく吸い込めるはずです。

私たちの体はよくできていて、先ほどの土踏まずで作る円の直径は、体の各ユニットをつなぐコネクターと密接に関係しています。肋骨の一番上にある(第一肋骨)環状骨の直径や、股関節と仙骨が形作っている円の直径とも同等の大きさなのです。

 

-頭、肩、腰にあるこの“円”を意識して立つことが重要なのですね。

体のコアを形成する部分の“円”が揃った状態になり、土踏まずの円を意識して地面に垂直に立つことで体が安定し、力まず柔らかく立てます。各コネクターが垂直に揃って動いているのだとイメージしながら体を動かせば、無理なく動作が行えるようになり、結果的にケガの予防につながります。

 

体を動かす時は「両手で伸びをする角度」も意識!

 

-軽いスポーツなどのレジャーで体を動かす時も、まずちゃんと立ってみるといいのでしょうか?

そうですね。では、いざ体を動かすという時にできる、簡単な準備をお教えしましょう!

1.まずは「ちゃんと立って」みる

2.顔を動かさないように1点を見て、腕を伸ばしながら体を左右にねじる

 

こうすると、腕が体にまとわりつくようによく動きます。この動きの中に、ゴルフのスイングなどいろいろな動きに必要となる自然な形が含まれているのです。

スポーツは足を肩幅程度まで開くような構えも多いですが、軸足でこれまでのことが意識できていれば大丈夫です。

 

もうひとつやってみましょう。

 

1.あくびをするように、リラックスして両手で伸びをし、腕の角度を確かめる

2.腕を伸ばしたのと同じ角度で、足も開く

 

実は伸びだけでなく、とっさに「ストップ!」と手で制するときも、遠くへ向かって手を振る時も、同じ人がやれば同じくらいの角度になります。これがその人独自の「自然開腕角度」、肩甲骨をフリーにして、肋骨を動きやすくする腕の角度です。

 

-体幹部を動かしやすくする腕の角度ということですね。

そうです。ですから運動をする時、この角度で腕を動かすととても扱いやすい。例えばボールの投げ方にはオーバースローやサイドスローといったものがありますが、胴体の向きが違っているだけで、腕の上がる角度は同じです。この腕の角度を意識することで、どちらの投げ方にも少しの練習で対応できるようになります。

 

人により、体を動かすための筋肉や部位は異なります。だからこそ意識したいのが、「自分にあった体の動かし方」。体幹部が固いまま手足ばかりを動かしていると、どこか痛めてしまう可能性が高まります。日頃から体を安定させ、しなやかに、たおやかに使えるように備えることで、ケガを防いでいきましょう。

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