ADVANCEコラム

がん治療「光免疫療法」

「光免疫療法」と呼ばれる新しいがん治療が、世界に先駆けて国内で始まりました。
光の作用でがん細胞だけを狙い撃ちにする仕組みで、副作用も少ないと期待されています。
その光免疫療法についてご紹介します。

■ 光免疫療法とは
① まず、がん細胞に発現している特定のタンパク質と結合する抗体に、あらかじめ非熱性赤色光と化学反
応を起こす光感受性物質を付加した抗体薬を静脈注射しま す。
② この抗体が体内でがん細胞に結合するのを待ちます。
③ その後、光ファイバーを病変に到達させて非熱性赤色光を照射します。
④ すると光感受性物質が非熱性赤色光に反応して、がん細胞が破壊されます。
がん細胞の破壊には、光感受性物質と非熱性赤色光との反応が必要なため、薬剤が結合していない、もしくは非熱性赤色光が当たらないがん細胞以外は破壊しません。
さらに、破壊されたがん細胞の破片ががん細胞を攻撃する免疫細胞に対する抗原となり、残ったがん細胞に対する免疫細胞の攻撃がさらに増強するという治療効果もあります。

 

 

■ 適用対象は、
外科手術では声帯などを摘出することもあるため新しい治療法のニーズが高かった、「頭頸部(とうけいぶ)がん」です。
※頭頸部がんとは、鼻、口、のどなど顔から首の範囲(頭頸部)に発生した悪性腫瘍

なお、化学放射線療法等の標準的な治療が可能な場合には、その治療を優先することが定められています 。
また、手術ができる場合や放射線療法などの治療が行われていない場合は、光免疫療法の対象とはなりません。

 

■ どこで治療を受けられるのか?保険適用は?
光免疫療法は、適正使用のための講習会を受講した十分な知識・経験のある医師によって提供されることに
なっており、本医薬品および本医療機器による治療をすでに治療を開始している国立がん研究センター東病
院(千葉県)に加えて、 全国約 40 の医療機関で治療が受けられるようになる予定とのことです 。
厚生労働省により 2020 年 9 月、安全性の検証を条件に光免疫療法で使う抗体薬「アキャルックス」(楽天メディカルジャパン) が 世界で初めて 「 切除不能な局所進行・局所再発の頭頸部がん」を対象に 承認 され 、 保険適用となっています。

今後、「手術療法」・「放射線療法」・「化学療法(抗がん剤)」・「免疫療法」につづく、
新たながん 療法になるのではないでしょうか

 

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