振り込め詐欺の手口は年々巧妙になっており、依然として多くの人が被害に遭っています。お金を振り込んでしまったら泣き寝入りのイメージが強いものの、救済制度によってお金を取り戻せる可能性もあります。制度の概要と留意点を確認しましょう。
◎被害者の申し出で振り込み先口座の凍結が可能
「オレオレ詐欺」や「還付金詐欺」などによる特殊詐欺被害は、広く注意喚起されているにもかかわらず後を絶ちません。警察庁で把握している2022年の被害件数は17,570件、被害総額は約371億円と、依然深刻な状況にあります。警察に報告せず泣き寝入りのケースも考慮すると、この数字は氷山の一角と言えるでしょう。
被害報告しない理由として、「既に騙し取られたお金は戻ってこない」という認識が根強いことも挙げられますが、被害者を救済するための制度の存在はあまり知られていません。どういった場合が救済対象となるのでしょうか?
2008年6月から施行されている「振り込め詐欺救済法」により、被害者の申し出で、振り込み先の口座を凍結することが可能となっています。被害者に対してはその口座に残っている金額から、被害回復分配金が支払われる仕組みです。
被害者が複数いれば各自の被害額等に応じて分配されるため、凍結口座の残高が少ないと被害額の一部しか取り戻せないか、全く取り戻せないことも考えられます。したがって被害に気づいた時は、なるべく早く警察と振り込み先の金融機関に申し出た方が良いでしょう。
◎制度による救済を装ってATMへ誘導する手口もあり
「振り込め詐欺救済法」の対象になるのは、預金口座等への振り込みを利用した財産被害です。具体的には「オレオレ詐欺」「架空料金請求詐欺」「融資保証金詐欺」「還付金詐欺」のほか、「ヤミ金融」「未公開株詐欺」といった手口による振り込みも対象となります。
しかし新たな手口として、被害者サポートセンター等を名乗る電話をかけ、この制度による救済を装いATMへ誘導して振り込ませる詐欺も確認されています。いかなる理由であっても見知らぬ人が金銭を要求した段階で、詐欺を疑った方が良いでしょう。
もしこのような勧誘を受けた場合は金融庁、預金保険機構や最寄りの警察署に相談することをおすすめします。
【参照】政府広報オンライン「振り込め詐欺救済法に基づき、振り込んでしまったお金が返ってくる可能性があります」
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201108/2.html#section3
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