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【今更聞けない】黄砂とPM2.5って何が違うの?

天気予報などでもよく名前を聞く黄砂とPM2.5。飛来量が多いときや濃度が高いときは、外出を控えるなどで気を付けようとなんとなく思っていても、なぜそうするかまでは意識していない方もいるかもしれませんね。今回は、今更聞けない黄砂とPM2.5の基礎知識、どんな影響があるのか、対策方法などをご紹介します。


 

黄砂もPM2.5も特定の物質のことではない

黄砂(Dust and sandstorm:DSS)は「風によって砂塵が運ばれる現象」

出典:環境省「黄砂ってなに?」

環境省によると、黄砂とは図のように「中国大陸内陸部のタクラマカン砂漠、ゴビ砂漠や黄土高原など、乾燥・半乾燥地域で、風によって数千メートルの高度にまで巻き上げられた土壌・鉱物粒子が偏西風に乗って日本に飛来し、大気中に浮遊あるいは降下する現象」のこと。

つまり「黄砂」という特定の物質があるわけではなく、土壌に由来する石英や長石などの造岩鉱物や、雲母、カオリナイト、緑泥石などの粘土鉱物、飛来する間に大気汚染物質を取り込んだ可能性があると見られているアンモニウムイオン、硫酸イオン、硝酸イオンなどが含まれた砂のことを指しているのです。

もともと黄砂は自然現象と考えられてきましたが、近年、黄砂の飛来頻度が高まり被害も拡大してきていることから、森林減少、土地の劣化、砂漠化といった人為的な影響による環境問題としても注目されています。

PM2.5(微小粒子状物質)は「大気中のごく小さな粒子」

 

「PMの大きさ(人髪や海岸細砂)との比較(概念図)」
出典:政府広報オンライン「「PM2.5」による大気汚染 健康に及ぼす影響と日常生活における注意点」

同じく環境省「微小粒子状物質(PM2.5)に関する情報」によると、PM2.5(微小粒子状物質)は「大気中に浮遊している2.5μm(1μmは1mmの1000分の1)以下の小さな粒子」のこと。図を見てもわかる通り髪の毛の太さの1/30程度と非常に小さい粒子です。これも大きさによって定義されているため、特定の物質というわけではなく、主に炭素成分、硝酸塩、硫酸塩、アンモニウム塩のほか、ケイ素、ナトリウム、アルミニウムなどの無機元素などが含まれています。

発生源としてはボイラーや焼却炉など煙を発生する施設、鉱物の堆積場等の粉じんを発生する施設、自動車をはじめとした乗り物などがよく知られていますが、中には自然を起源とするものもあり、例えば火山の噴煙のうち2.5μm以下の細かい粒子などもPM2.5に含まれます。

 

黄砂やPM2.5が多く飛来するとどうなる?

黄砂に関連すると見られる健康影響の報告も
環境省によると、日本へ飛来する黄砂の多くは飛来する間に濃度が低くなり、屋外に干した洗濯物や自動車などが汚れるといった被害が起こる程度だとされています。その一方で、黄砂の飛来時に目・鼻・皮膚などにアレルギー症状を起こす、呼吸器疾患がある方の症状が悪化する、循環器疾患による入院、発症増加、脳梗塞での入院、発症増加といった調査研究結果もあり、関連が指摘されています。

PM2.5も濃度によって健康への影響が懸念される
PM2.5は非常に小さいため、成分を問わず肺の奥深くにまで入り込みやすく、それによって黄砂と同じように呼吸器系疾患や循環器系疾患などのリスクが高まると考えられています。
そこで、環境省は平成 25 年2月に「微小粒子状物質(PM2.5)に関する専門家会合」を設置し「健康影響が出現する可能性が高くなると予測される濃度水準として、注意喚起のための暫定的な指針となる値を日平均値70µg/m3」と定めています。ただしこれはあくまで目安で実際は個人差もあり、特に呼吸器系や循環器系に疾患を持っている方、お年寄り、子どもなどではさらに低い濃度でも健康に影響する可能性が否定できないとされています。

黄砂やPM2.5のリスクが見えてきたところで、続いては黄砂やPM2.5が飛来した際に影響を受けにくくするためのポイントを確認しておきましょう。

黄砂・PM2.5の影響を防ぐポイント

黄砂・PM2.5の情報をこまめにチェックする
環境省や気象庁により、黄砂・PM2.5の情報をほぼリアルタイムで確認できるWebサイトが提供されています。また、気象情報などと併せて黄砂・PM2.5の注意喚起情報を取り扱う報道番組もありますので、まずはこれらをチェックして、飛来に備えるようにしましょう。

気象庁 黄砂情報
https://www.data.jma.go.jp/gmd/env/kosa/obs/japan.html

 

黄砂が飛来している・PM2.5の濃度が基準を超えているときは不要不急の外出や運動を控える


黄砂やPM2.5は「吸い込む量をなるべく減らす」ことが肝要です。お住まいの地域に黄砂が飛来している間、お住まいの地域のPM2.5の濃度が基準を超えている間は、なるべく長時間の外出や屋外での運動を控えるようにしましょう。

マスクを正しく着用し、帰宅時は手洗いうがいを

近年、感染症対策の影響もあり、あらためて正しいマスクの着け方を意識した方も多いのではないでしょうか。黄砂が飛来している間、PM2.5の濃度が基準を超えている間のやむを得ない外出にも、その経験は活かされるはずです。外出の際は下記を参考にPM2.5に対応している、そして自分の顔にサイズの合ったマスクを選び、顔との間にすき間を作らないように着けることを心がけましょう。

家庭用マスクの用途別種類

・花粉対策用

花粉粒子の捕集試験をしており、約30㎛以上の粒子をカットするフィルタを採用、息苦しさを軽減

・風邪、ウイルス対策用

BFE(約3μm)、VFE(約1.7μm)の試験を行い、99%までのフィルタ捕集効果を表記

・PM2.5対策用

PFE(約0.1μm)の試験を行い、99%までのフィルタ捕集効率を表記

 

出典:(一社)日本衛生材料工業連合会・全国マスク工業会「マスクの種類と使用時の注意」

 

また帰宅時の手洗い・うがいも、感染症対策だけでなく黄砂・PM2.5の影響を抑えるのに役立ちます。

窓の開閉を控え、PM2.5対応の空気清浄機を活用する


外出を控えていても、外に面した窓を開けていればそこから黄砂やPM2.5が入り込んでしまいます。黄砂が飛来している間、PM2.5の濃度が基準を超えている間は窓の開閉をなるべく控え、PM2.5に対応する空気清浄機を活用しましょう。フィルターのお手入れをマメに行うこともポイントです。
黄砂やPM2.5は洗濯物にも付着します。黄砂が飛来している間は、洗濯物の汚れや再飛散を防ぐため、室内干しにしたほうがいいでしょう。
PM2.5の場合は粒子が小さく湿気を含みやすいため、洗濯物に付いても目立たず、また再飛散しにくいという特徴があります。洗えば落ちますが、それでも気になるようであれば室内干しにすると安心です。

持病との関連など、自分に合った対策を
先に説明した通り、黄砂やPM2.5の影響には個人差があります。注意喚起や基準値だけにとらわれず、自分の体調とも相談しながら取るべき対策を見定めていきましょう。特に持病のある方は、あらかじめ主治医に「黄砂やPM2.5の影響がありそうなときはどうすればいいか」と相談しておくと安心です。

黄砂もPM2.5も、量が多ければ空が煙っているように見えることもありますが、そうでなければ比較的目に見えにくいものです。だからといって不調を感じてから対策するのでは、やはり万全とは言えません。まずは日々の情報収集を意識して、注意が必要な状況に備えるようにしましょう。

 

参考:

環境省、気象庁「黄砂情報提供ホームページ」
https://www.data.jma.go.jp/gmd/env/kosateikyou/kosa.html

政府広報オンライン「「PM2.5」による大気汚染 健康に及ぼす影響と日常生活における注意点」
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201303/5.html

 

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