ADVANCEコラム

昨年公布された主な年金制度の改正内容について

長い老後生活を見据えて、将来の年金がどれくらい受け取れるかは大きな関心事です。社会の変化に合わせ年金制度も逐次改正が行われていますが、直近ではどのような変更点があるでしょうか?令和2年6月5日に公布された改正法から、主なものを紹介します。

 

①児童扶養手当と障害年金の併給調整の見直し

障害年金受給者がひとり親の場合、従来は障害年金額が児童扶養手当額を上回ると、児童扶養手当を受給できませんでした。改正後は併給調整方法を見直し、「児童扶養手当-障害基礎年金の子の加算部分」の額も受給できるようになりました。

施行日:令和3年3月1日

 

②脱退一時金制度の見直し

脱退一時金は短期滞在の外国人に対して、被保険者期間に応じて支給されるものです。日本国籍を有しない人が国民年金および厚生年金保険(共済組合等を含む)の被保険者(組合員等)資格を喪失して日本を出国した場合、日本に住所を有しなくなった日から2年以内に請求できますが、入国管理法の改正内容等に合わせ、支給上限が3年から5年に引き上げられました。

施行日:令和3年4月1日

 

③年金生活者支援給付制度における所得・世帯情報の照会対象者の見直し

所得が一定基準額以下の人に上乗せされる年金生活者支援給付金について、従来は支給要件判定のための所得・世帯情報の調査が、既存の支給対象者のみと定められていました。それにより所得額が前年より低下した人など、新たな支給対象者に請求漏れの懸念が生じていたため、改正後は支給要件に該当する可能性のある人に対し、簡易な請求書が送付できるようになります。

施行日:公布日(令和2年度は法施行後に所得情報を得るため経過措置を設ける)

 

④令和4年4月1日以降に施行予定の主な改正内容

・被用者保険の適用拡大(短時間労働者の適用対象企業規模要件の段階的引下げ等)

・在職中の年金受給のあり方の見直し(老齢厚生年金)

・年金受給開始時期の選択肢の拡大(現行60歳~70歳を60歳~75歳に拡大)

・確定拠出年金の加入可能年齢引き上げ

 

将来より良い条件で年金を受け取るためにも、制度への理解を深めておくことが重要です。上記改正の詳細やその他改正内容については、厚生労働省ホームページ等で確認可能です。

 

【参照】厚生労働省「年金制度改正法(令和2年法律第40号)が成立しました」

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000147284_00006.html

 

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