ADVANCEコラム

損金算入が認められる交際費・社外飲食費の範囲とは?

経済活動の停滞を取り戻すため手探りが続く状況で、交際費といった費用の発生を以前より抑えている企業もあるかもしれません。取引先同士で行った外食等は損金算入できるケースもありますが、損金算入が認められる範囲を改めて確認しましょう。

まずは租税特別措置法の定義からおさらいすると、交際費等とは「交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するもの」とされています。税務上の要件については、以下のように整理できます。

・支出の相手→直接取引先(得意先、仕入先等)、間接的な関係者(役員、従業員、株主等)

・支出の目的→事業関係者等と親睦の度を密にして取引関係の円滑な進行を図る

・行為の形態→接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為

交際費等の要件を満たすケースでも、法人の規模によって損金算入の可否と限度額があるため注意が必要です。具体的には資本金1億円以下の中小法人(親会社等の資本金によっては中小法人に該当しない場合あり)は、800万円まで交際費等の損金算入が認められています。それ以外の法人は原則として全額損金不算入となりますが、「社外飲食費で1人当たり5,000円以下のもの」「1人当たり5,000円超の社外飲食費で50%までの額(中小法人は800万円の限度額と選択)」については損金算入することが可能です。ただし資本金100億円以上の法人は、令和2年4月より5,000円超の社外飲食費が全額損金不算入となっています。

1人当たり5,000円以下の社外飲食費について、交際費等から除外される要件は次の①~④で、これら全てを満たせば法人の規模を問わず全額損金算入することが可能です。

①飲食その他これに類する行為のために要する費用

②専ら法人の役員・従業員のために支出する社内飲食費を除いた飲食費等

③1人当たり5,000円以下

④一定の事項を記載した書類を保存していること

上記のうち④に必要な記載事項は「飲食等のあった年月日」「飲食等に参加した得意先、仕入先その他事業に関係のある者等の氏名、名称およびその関係」「飲食等に参加した者の数」「その費用の金額、飲食店等の名称と所在地」「その他参考となるべき事項」です。年月日や店名は領収証で確認できても、参加人数などは記憶が薄れてしまう可能性もあるため、該当する会食を行う従業員には、記載事項をあらかじめ周知しておくと良いでしょう。

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