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【オレオレ詐欺だけじゃない】特殊詐欺から家族を守ろう

子どもや孫になりすます「オレオレ詐欺」だけでなく、還付金や預貯金の手続きを装う、キャッシュカードの交換をかたるなど、さまざまな手口が存在している特殊詐欺。近ごろは新しい制度などに乗じて個人情報を聞き出し、特殊詐欺につなげるケースも発生しています。今回は、近年発生している特殊詐欺の事例、それぞれの手口や特徴についてご紹介します。

 

 

給付金、マイナンバー、ワクチンも……最近の「特殊詐欺手口」は?

新しいもの・不慣れなものを前面に出す詐欺手口が目立つ

最新特殊詐欺手口の一例

・特別給付金の手続きをかたってATMを操作させ、現金をだまし取る

・マイナンバー(カード)の手続きなどをかたって現金をだまし取る・個人情報を聞き出す

・ワクチン接種の予約に関する手続きなどをかたって個人情報を聞き出す

・宅配便のお届けを装い個人情報を聞き出す

→聞き出された個人情報が他の特殊詐欺につながることも……!?

弱みである「子ども(家族)」をエサに、高齢の方をだましてきたオレオレ詐欺。最近は、新型コロナウイルス感染症の流行を受けてスタートした新しい給付金制度やワクチン接種、行政手続きなどのIT化をはかるためのマイナンバーといった、高齢の方が戸惑いがちな「新しいもの・不慣れなもの」を前面に出した特殊詐欺が横行しています。ぜひ、家族で詐欺事例などの情報を共有しておきましょう。

 

コロナ禍で「特別給付金などの手続き」を装う手口が登場

新型コロナウイルス感染症の流行で生活に窮している人を支援するため、さまざまな給付金制度が設けられましたが、この制度を悪用した特殊詐欺も出てきています。「申請手続き」をかたってATM(現金自動預払機)を操作させ、本人が気づかないうちに口座間の送金をさせたり、「支給に必要な手数料がある」と嘘をついて、振り込みを求めたりするといった手口です。

 

「マイナンバー制度」に便乗して情報や現金をだまし取る

マイナンバーの通知や利用、個人番号カードの交付などの手続きを装ってATMを操作させたり、キャッシュカードを盗もうとしたり、手数料などをだまし取ろうとしたりする手口です。直接現金をだまし取られる他にも、口座番号や口座の暗証番号、所得や資産の情報、家族構成や年金・保険の情報といった個人情報を聞き出されるケースがあります。

 

「ワクチン接種の手続き」をかたるケースも

新型コロナウイルス感染症のワクチンは、費用を負担せずに接種できることが周知されていますので、接種費用をだまし取ろうとするケースはあまりないようです。しかし、接種会場からのメールを装って怪しいウェブサイトへ誘導しようとしたり、役所の係員などを装って個人情報を聞き出したりするケースが見られます。

 

「宅配便のお届け」を装い個人情報を聞き出す

宅配業者を装った電話で、「伝票の名前が消えかかっていて読めないので住所と名前を教えてほしい」などと言い、家族の名前や連絡先を聞き出すといったケースも見られます。現金などをだまし取られることはあまりないようですが、個人情報を聞き出されるのは危険な兆候です。

 

新しい手口で個人情報を収集し、他の特殊詐欺につなげる

新しい手口を見ていくと「直接現金をだまし取るわけではないが、家族構成や家族の名前、資産や年金・保険の情報といった個人情報を聞き出されている」ケースが出てきていることがわかります。こうした手口は、他の特殊詐欺につながる前触れの可能性も考えられます。

 

典型的な「特殊詐欺」もまだまだ油断できない

お馴染みの特殊詐欺も日々手口が変わっている!

一見、情報が知れ渡っているようにも感じられる「オレオレ詐欺」などの典型的な特殊詐欺。しかしその手口は年々複雑化し、従来の詐欺手口に関する知識だけでは防ぎきれなくなってきています。最新の詐欺手口にアンテナを張って、家族みんなで共有しておくことが重要です。

 

「オレオレ詐欺」の手口は以前よりも複雑化している

子どもや孫など家族のふりをして電話をし、「トラブルでお金に困っている」と見せかけて現金をだまし取る「オレオレ詐欺」。最も知られている手口の特殊詐欺ですが、それだけに仕掛けが複雑化してきています。

家族のふりをしている人物だけでなく、その上司や弁護士をかたる人物が電話に出て「本当にトラブルが起こっている」ように思い込ませたり、「人に知られたくないから」などと事前に銀行やATMでの振る舞いを指示することで、特殊詐欺であると発覚しにくくしたりするようなケースもあるのです。

 

キャッシュカードをすり替えて発覚を遅らせる「預貯金詐欺」

役所や銀行などの職員を装って「キャッシュカードの交換(などの手続き)が必要」と嘘をつき、キャッシュカードと暗証番号をだまし取る「預貯金詐欺」も典型的なケースです。封筒にカードと暗証番号のメモを入れさせて、あらかじめ用意しておいたニセモノとすり替えてから本人へ返すなど、こちらも発覚を遅らせようとする手口が見られます。

 

医療費や税金だけでなく、さまざまな名目をかたる「還付金詐欺」

医療費や税金などの還付手続きを案内すると見せかけて、ATMを意図しない形で操作させ、気づかないうちに口座間の送金をさせてしまう「還付金詐欺」。当初は医療費や税金といった名目が多かったものの、冒頭で紹介した特別給付金やマイナンバー、年金など、さまざまな名目がかたられるようになっています。

 

 

特殊詐欺被害を防ぐために共有したい、家族との約束4つ

家族みんなで「特殊詐欺被害を防ぐための約束」を

最後に特殊詐欺被害を防ぐための対策として、日ごろから家族と取り決めておきたい約束事をご紹介します。高齢のご家族だけにお願いするのではなく、家族みんなで取り組むことで、定着しやすくなります。

 

約束1:防犯機能付きの電話機を活用して、悪質な勧誘電話も撃退

特殊詐欺の増加を受けて登場した「防犯機能付き電話機」は、登録されていない電話番号からの着信に対して、あらかじめ「防犯機能付き電話機であること」や「通話を録音していること」を警告する機能が搭載されています。こうした対策をとっていると知らせるだけでも効果がありますし、特殊詐欺の電話だけでなく、悪質な勧誘電話なども減らすことができます。

電話番号登録などの操作が必要なため、高齢のご家族にプレゼントする場合は初期設定まで一緒に済ませるのがおすすめです。

 

約束2:かかってきた電話にはすぐに出ず、留守番電話を利用する

一般的な電話機の場合も、ナンバーディスプレイで誰からかかってきたかすぐわかるようにしておくと安心です。知らない番号からの電話にはすぐに出ず、留守番電話への対応などの様子を見てから、必要に応じてかけ直したりすると良いでしょう。

 

約束3:怪しい電話は長引かせずに一度切り、周囲に相談を

「お金が必要だ」、「お金がもらえる」といったいかにも怪しい電話はもちろん、言葉巧みに家族構成を聞き出したり、子どもや孫の名前、資産に関する情報を言わせたりしようとする電話は、少々強引でも一度切ってしまうのが安全です。その上で、家族など周囲の人に相談してみましょう。1人で対応すると、冷静な時には思いもよらないような判断をしてしまうこともあります。家族とも「なにかあったらすぐ相談する・相談してほしい」とあらかじめ頼んでおくと良いでしょう。

 

約束4:家族とまめに電話をして、新しい特殊詐欺の手口を共有しておく

家族、特に高齢の方と子どもや孫などの若い世代がまめに電話をするのも立派な対策です。自分たちだけの合言葉まで決めておければ盤石ですが、家族の話し方や口ぐせなどを把握しているだけでも、怪しい電話を見極める手掛かりになります。近況を知らせあったり、報道などで見聞きした新しい特殊詐欺の手口を教えあったりして、情報を共有する意味でも有効な手段です。

 

新しい制度やサービス、ATM機器など、特に高齢の方が「よくわからない」と感じがちなポイントを突いてくるのは、特殊詐欺の特徴のひとつとも言えます。本人との約束や心がけももちろん重要ですが、電話機に防犯の備えをしたり、まめに電話をしたりするといった対策においては、家族、特に子どもや孫などの若い世代の協力がほしいところです。お互いにサポートしあって特殊詐欺の被害を防ぎましょう。

 

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