ADVANCEコラム

改めて確認したい令和2年度税制改正の内容

3月27日に国会で成立した「所得税法等の一部を改正する法律案」「地方税法等の一部を改正する法律案」により、令和2年度税制改正の施行が明らかとなりました。代表的なものをお伝えします。

●個人所得課税・資産課税
全てのひとり親に公平な税制支援を適用する観点から、「未婚のひとり親に対する税制上の措置及び寡婦(寡夫)控除」が見直されました。婚姻歴の有無や性別にかかわらず、生計を同じとする子(総所得金額等が48万円以下)を有する単身者について、同一の控除(控除額35万円)を適用します。子以外の扶養親族をもつ寡婦については、男性と同様の所得制限(所得500万円以下)を設けることなども定められました。
また、NISA(少額投資)制度の見直し・延長では「つみたてNISAを5年延長」「一般NISAを二階建ての制度に見直し5年延長」「ジュニアNISAは延長せず令和5年末で終了」という取り扱いとなります。
そのほか個人所得課税・資産所得課税について、「確定拠出年金の企業型や個人型(iDeCo)等の加入可能年齢の引上げや受給開始時期の選択肢拡大」「低未利用地の活用促進(譲渡益から100万円を控除)」「所有者不明土地等に係る固定資産税の課題への対応(現に所有している相続人等の申告の制度化など)」といった内容が盛り込まれています。

●法人課税
「オープンイノベーションの促進に係る税制の創設」においては、事業会社が令和2年4月1日から令和4年3月31日までの間に、一定のベンチャー企業の株式を出資の払込みにより取得した場合には、その株式の取得価額の25%相当額の所得控除を認めます(特別勘定として経理した金額を限度)。
また、連結納税制度が見直され、損益通算の基本的な枠組みは維持しつつ、各法人が個別に法人税額等の計算及び申告を行う仕組み(グループ通算制度)に移行します。そのほか「5G導入促進税制の創設(一定の5G設備にかかる投資について税額控除または特別償却)」「企業版ふるさと納税の税額控除割合引上げ」などが示されました。

●消費課税
「たばこ税の見直し」では、軽量な葉巻たばこ(1本1グラム未満)について、紙巻きたばこと同等の税負担となるよう最低税率を設定します(重量課税から本数課税へ変更)。なお、激変緩和を図る観点から、たばこ税率の引上げスケジュールに合わせて最低税率を段階的(令和2年10月・令和3年10月)に引き上げます。そのほか「法人に係る消費税の申告期限を延長する特例の創設」「居住用賃貸建物の取得に係る消費税の仕入税額控除制度の適正化」「酒類の免許制度の見直し(輸出用清酒の製造免許を新設)」といった制度の見直しや創設が行われています。

令和2年度税制改正では他にも国際課税、納税環境整備に関する施策が示されています。詳しい内容はここでは割愛しますが、財務省ホームページで改正内容をまとめたパンプレットも公開されています。利用できそうな制度は改めて確認のうえ、それぞれの適用期限に注意しながら手続きを行うと良いでしょう。

【参照】財務省「令和2年度 税制改正」
https://www.mof.go.jp/tax_policy/publication/brochure/zeisei20_pdf/zeisei20_all.pdf

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