ADVANCEコラム

2020年10月から変更された雇用保険の給付制限期間について

労働者の離職はそれぞれの事情によりますが、会社都合と自己都合で雇用保険の給付制限期間が異なります。この給付制限期間につい2020年10月から変更された内容を、新型コロナウイルス感染症関連の給付日数延長特例とともに確認しましょう。

雇用保険における離職者の取り扱いについて、倒産や事業縮小など会社都合により離職した場合は、「特定受給資格者」となります。「特定受給資格者」の基本手当(失業給付)は、ハローワークに申請してから1週間の待機期間満了後に支給が開始されます。

正当な理由のない自己都合による離職、重責解雇による離職の場合は、待機期間満了後も一定の給付制限期間(期間の長さは後述)は基本手当が支給されません。ただし自己都合でも以下の理由に当てはまる人は、「特定受給資格者」と同様に基本手当の支給が開始される「特定理由離職者」として取り扱われます。

・体力の不足、心身の障害、疾病、負傷、視力、聴力、触覚の減退による離職

・妊娠、出産、育児により離職し、雇用保険の受給延長措置を受けた者

・父母の死亡、疾病、負傷または常時本人の介護を必要とする親族の疾病等による離職

・配偶者や扶養親族と別居を続けることが困難となった者

・結婚に伴う住所の変更、事業所移転等の理由により、通勤が困難となった者

 

なお正当な理由のない自己都合で離職した場合の給付制限期間について、令和2年9月30日以前の離職では3か月でしたが、令和2年10月1日以降の離職では2か月に短縮(5年間のうち2回まで)されています。ただし自己の責めに帰すべき重大な理由で離職した場合、給付制限期間は従来通り3か月です。

雇用保険の基本手当は、被保険者期間や年齢、離職理由等により給付日数が定められています。しかし新型コロナウイルス感染症の影響による離職の場合、給付日数が延長となる特例が適用されます。延長日数は基本的に60日ですが、35歳以上45歳未満で所定給付日数270日の人と、45歳以上60歳未満で所定給付日数330日の人は延長日数30日です。特例の適用要件は、以下の離職日と離職理由に当てはまり、令和2年6月12日以後に基本手当の所定給付日数を受け終わる人が対象となります。

①令和2年4月7日以前の離職:離職理由を問わない(全受給者)

②令和2年4月8日~5月25日の離職:「特定受給資格者」および「特定理由離職者」

③令和2年5月26日以降の離職:新型コロナウイルス感染症の影響により離職を余儀なくされた「特定受給資格者」および「特定理由離職者」(雇止めの場合に限る)

 

なお③に該当する場合は、離職証明書の具体的事項記載欄に「コロナ関係」と記載する必要があります。ただし感染が心配で自発的に離職したケースでは、特例が適用されないため注意しましょう。

 

【参照】厚生労働省「給付制限期間が2か月に短縮されます」

https://jsite.mhlw.go.jp/kyoto-roudoukyoku/content/contents/000676060.pdf

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