ADVANCEコラム

子の看護休暇と介護休暇を運用する際の注意点は?

家族の病気等で病院への付き添いや身の回りの世話が必要になった場合、従業員にとってはその間仕事を休めるかが大きな問題となります。利用できる制度に子の看護休暇および家族の介護休暇がありますが、企業側で運用する際の注意点はあるでしょうか?

子の看護休暇とは、小学校就学前の子を養育する従業員を対象とした育児・介護休業法で定められた休暇制度です。病気やケガをした子の看護、または子に予防接種や健康診断を受けさせるための利用等が主な目的で、1年度に5日を限度(2人以上の場合10日)として取得することができます。

一方で介護休暇とは、病気やケガ、高齢等の理由で要介護状態になった家族の介護や世話をする従業員を対象に定められた休暇制度です。認められる家族の範囲は、配偶者(事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む)、実父母、配偶者の父母、子、祖父母、孫、兄弟姉妹となっています。子の看護休暇と同様、1年度に5日を限度(2人以上の場合10日)として取得することが可能です。

どちらの制度も休暇を取得できる単位について、従来1日もしくは半日単位でした。しかし育児・介護休業法施行規則等の改正により、2021年1月から時間単位で取得できるようになります。また制度の対象者について、従来除かれていた「1日の所定労働時間が4時間以下の従業員」も含まれるようになります。

従業員が実際にどの単位で休暇を取得するかは、労使間での充分な話し合いが必要です。時間単位での休暇取得が困難な業務がある従業員については、労使協定を締結することにより、時間単位での取得対象から除外できます。その際は困難と認められる業務の範囲についても、業務の性質や実施体制に照らして事前によく話し合うことが大切になります。

子の看護休暇も家族の介護休暇も法律上、有給か無給かの定めはありません。現状は無給としている企業も多いですが、時間単位で利用できる有給の制度を導入した企業には助成金が支給されるケースもあるため、企業側で制度変更を検討するのも良いでしょう。また、これらの休暇制度は従業員の権利として保護されており、取得を理由に人事評価を下げたり賞与等に影響させたりしてはいけません。

企業は休暇制度の運用をめぐって従業員とトラブルにならないためにも、その内容を就業規則に明記のうえ、事前にしっかり周知しておくことが重要です。家族の看護や介護は誰にでも起こりうる問題なので、従業員が利用しやすい職場の雰囲気も含めて、休暇制度の環境を整えたいものです。

 

参照:厚生労働省「子の看護休暇・介護休暇が時間単位で取得できるようになります(令和3年1月1日施行)」

https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000582033.pdf

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

PAGE TOP