ADVANCEコラム

急病時に普段の健康状態を伝える「救急医療情報カード」

みなさま、 「救急医療情報カード」という言葉をご存知でしょうか。感染症への不安が拭えない中、身近な傷病で治療を受ける場面も考えられます。とりわけ他の基礎疾患がある場合、それを早い段階で医療関係者に伝えることが大切です。普段の健康状態を口頭で伝えられないような状況では、どういった方法をとれば良いでしょうか?

一般的にはあまり知られていないかもしれませんが、各地方自治体で発行している「救急医療情報カード」というものがあります。これに基礎疾患や現在飲んでいる薬といった情報を記入し携行することで、急病やケガなどの対応にあたる医療関係者が、普段の健康状態を素早く把握することが可能です。カードおよび用紙に記入する内容は発行する自治体によって異なり、「救急あんしんカード」などと呼ぶ場合もあります。

たとえば神戸市で配布している「安心カード」(外出用)では、「住所や生年月日」の他に「持病」、「かかりつけの病院」、「緊急連絡先」が記入できます。実際にこのカードを持参しているお陰で、「意識不明となった傷病者をかかりつけの病院に搬送出来た」、「家族や協力者への連絡が早くできた」、持病等がわかり適切な応急処置に役立った」などの事例があります。

他の自治体でも同様のものを配布もしくはHPからダウンロードが可能なため、お住まいの地域で確認すると良いでしょう。利用方法としては携行のほか、記入済みのカードを扉や冷蔵庫に貼っておけば、高齢の単身世帯で救急車を呼ぶ時などに役立ちます。

海外も含めた例では「ワールドメディカルカード」が普及しており、アメリカ、ノルウェー、スウェーデン、デンマーク、ドイツ、ギリシャ、イギリス、フランス、オランダ、ベルギー、ルクセンブルク、日本などで利用されています。本部はスイス・ジュネーブにあり、日本では「ワールドメディカルセンタージャパン(株)」が取り扱っています。

基本的な記入内容は先述の「救急医療情報カード」と同様ですが、アレルギー反応や臓器提供の意思なども記入でき、病名および服用薬の情報では、英語やWHOの国際医療コード(ICD-10分類、ATC分類など)も併記することが可能です。なお形状はカードだけではなく、モバイルやWeb対応もあるため、利用しやすい携行方法を選べます。

「救急医療情報カード」も「ワールドメディカルカード」も主に基礎疾患がある人や、高齢者の利用を想定していますが、そうではない人が携行しても大いに役立ちます。カードに緊急連絡先を記入すれば家族への連絡がスムーズになり、基礎疾患がない旨がわかれば医療関係者も治療方法を迅速に判断できるでしょう。いつどこで起こるかわからない「もしも」に備え、多くの人がカードの存在を知り、携行することが望まれます。

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