ADVANCEコラム

「会社標本調査」から読み取れる企業活動の傾向について

国内の法人企業について、全体の営業収入や業種別の赤字割合を示す資料に、国税庁が公表している「会社標本調査」があります。現在の最新版は平成30年度分ですが、企業活動の傾向をつかめるデータもあるため確認してみましょう。

「平成30年度分会社標本調査」結果によると、全体の法人数は273万8,549社となっています。そのうち連結親法人は1,751社、連結子法人は1万3,256社で、いずれも増加傾向を示しています。また赤字法人(連結子法人を除く欠損法人)は169万2,623社、赤字法人割合は62.1%となり減少傾向であるものの、いまだ半数を大きく上回る状態です。

業種別(連結法人を除く)の赤字法人割合をみると、出版印刷業が最も高く74.9%、次いで料理飲食旅館業73.8%、繊維工業73.4%、食料品製造業71.1%、小売業71.0%が続きます。赤字法人割合が低い順では建設業56.0%、鉄鋼金属工業56.5%、機械工業57.2%、不動産業58.0%、運輸通信公益事業58.3%という並びです。一概には言えませんが赤字法人割合の高い業種は廃業率が高く、入れ替わりのサイクルも早い傾向が考えられます。

また法人全体の営業収入金額は1,547兆7,854億円、そのうち黒字法人の営業収入金額は1,269兆268億円、所得金額は69兆7,456億円でいずれも増加傾向にあります。また黒字法人の益金処分金額の総額は105兆8,217億円で、内訳は社内留保50.9%、支払配当27.7%、法人税額等12.1%、その他の社外流出9.3%という割合です。半数を占める社内留保の金額は増加の一途で、平成21年度分と比較して3倍以上の伸びを見せました。

法人税額の総額は12兆1,638億円、所得税額控除は4兆2,578億円でいずれも増加傾向となっています。繰越欠損金の当期控除額は8兆4,461億円で横ばい傾向にありますが、翌期繰越額は63兆3,648億円でゆるやかな減少傾向を見せています。全体の法人税額と社内留保が増加していることから、各企業が体力の強化に努めた結果の減少とも読み取れますが、設備等への投資に慎重になっている可能性も考えられ、良し悪しの判断は難しい所です。

  • 新型コロナウイルス感染症の影響が来年公表のデータに反映?

平成31年3月までの1年間に、全国の企業が取引先の接待などに使った交際費は3兆9,619億円でゆるやかな増加傾向にあります。そのうち損金不算入割合(税法上損金に算入されなかった金額の割合)は26.5%で、平成21年度分と比較して10%以上の減少を見せました。これは接待交際費を損金算入可能な範囲に抑える傾向が読み取れ、営業活動の手法が変化していることの一端かもしれません。

法人企業の業績について、直近では新型コロナウイルス感染症の影響が避けられない情勢です。来年公表が見込まれる「会社標本調査」でも赤字法人割合など、具体的なデータに反映されることも考えられます。近年増加傾向にあった社内留保が企業活動の継続に活きるのか、業種ごとに従来と異なる水準の数値が現れるのか、個々の企業の動向も含め注視する必要があります。

【参照】国税庁「平成30年度分会社標本調査」

https://www.nta.go.jp/information/release/pdf/0020005-047.pdf

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

PAGE TOP