ADVANCEコラム

個人事業者や企業が受け取る助成金等の税務取り扱い

経済の先行きが未だ見通せない状況で、個人事業者などが国や地方公共団体の助成金を申請する話もよく聞かれます。受け取ったそれらの助成金等が、税務上どう取り扱われるかについて、国税庁のFAQから概要を紹介します。

助成金等を収入計上するタイミングですが、国税庁が公表している新型コロナウイルス感染症関連のFAQによれば、個人事業者が国や地方公共団体から受け取った助成金等は、多くのものが課税対象となります。その収入計上時期は原則として、収入すべき権利が確定した日(支給決定時)の属する年分です。法人税においても同様の取り扱いで、助成金等は支給決定時の属する事業年度に収益として計上することになります。

ただしその助成金等が一定の経費補填を前提としたもので、個人事業者が計画届の提出など所定の手続きを行っている場合、経費が発生した年分に収入計上します。こちらも法人税における収益計上時期の取り扱いは同様です。

上記の話をふまえて、雇用調整助成金はどの年分で計上すれば良いのでしょうか。この助成金は新型コロナウイルス感染症に伴う特例措置として、上限額や助成率の引き上げが図られ、事前の計画届も提出不要とされています。休業等の対象期間内の実績を月単位で判定し、通常はその期間ごとに支給申請を行うため、各支給申請にかかる同助成金の支給が決定するたび支給額を収入(収益)に計上する取り扱いです。

イメージ的には経費補填とも取れる雇用調整助成金ですが、計画届を提出しない場合は休業手当など経費が発生した年分(事業年度)ではなく、支給決定時の年分(事業年度)に支給額を収入(収益)に参入します。

なお特例措置の期間は令和3年4月30日までで、その後は企業の経営状況や感染状況に応じて上限額を下げながら6月末まで継続する見込みです。助成金の存在が経営を大きく左右するケースも考えられるため、今後の動向に注目しましょう。

 

【参照】国税庁「国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/kansensho/faq/pdf/faq.pdf

 

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