平均寿命が伸び続けている昨今、社会問題のひとつとして高齢ドライバーの事故が挙げられます。しかし運転する本人が車を手放したり、免許を自主返納する踏ん切りがつかないなど、根本的な解決は難しい状況です。そんな中で警察庁は高齢ドライバーが相談しやすくするため、専用ダイヤルを新設するなど対策を進めています。
加齢にともない認知機能の低下、身体機能の衰えが進むと、運転操作を誤って交通事故につながる可能性が高まります。運転する本人としてはなかなか受け入れがたい事実ですが、従来の感覚と実際の操作とのズレが、思わぬ事態を引き起こすことも少なくありません。家族から免許返納を勧められても感情的になってしまい、漠然とした不安はあっても自分の状態を客観視するのは難しいといえるでしょう。
こうした高齢ドライバーや家族の不安に対応するため、警察庁では「安全運転相談ダイヤル#8080(ハレバレ)」を開設しました。看護師資格を持つ専門職員や警察官などが、相談者の不安や悩みをヒアリングし、内容によっては認知症を診断する地元病院や、免許の返納手続きを案内するものです。相談の受付は原則として平日で、専用ダイヤルに電話をかけると、その地域を管轄する都道府県警察の安全運転相談窓口につながります。
今までも同様の相談窓口はありましたが、認知度の低さが課題でした。この専用ダイヤル導入によって地域ごとの電話番号を調べる手間がなくなり、運転に関する小さな疑問や不安を気軽に相談できるようになります。
免許の自主返納の他にも、高齢ドライバーの事故を減らす方法はあるでしょうか?「自動運転」「ライドシェア」「通信機能付きドライブレコーダー」といったテクノロジーや新サービスも有力視されていますが、実現性や制度の問題で時間がかかったり、サービスの浸透に地域差があるなど、解決に直結している状況とはいえません。
ここで興味深いデータとして、電動アシスト自転車の販売数増加があります。「経済産業省生産動態統計年報 機械統計編」によると、2018年の電動自転車の販売台数は約66.7万台で、2014年の約47.5万台から1.4倍ほど伸びました。その中には自動車の運転をやめた高齢者が、移動の代替手段として購入したケースもあるでしょう。
自動車と比較すれば自転車は事故の規模が小さいとも考えられますが、リスクがゼロというわけではありません。自転車に乗るためには身体のバランス感覚が必要なうえ、電動アシストでは脚力以上のスピードが出て、大きな事故となる可能性があります。運転していた本人が転倒で負傷するばかりでなく、歩行者や他の自転車との衝突など賠償事故のリスクも無視できません。
とはいえ日常生活を送るには、徒歩以外の移動手段が必要なこともあるでしょう。リスク回避のためできるだけ公共交通機関を使いたい所ですが、自転車に乗るなら賠償事故に備え、自転車保険や個人賠償責任保険へ加入することが大切です。個人賠償責任保険は自動車保険のオプションとなっているケースも考えられるので、免許返納で解約する際は契約内容をもう一度確認すると良いでしょう。
身体機能の衰えは誰にでも訪れますが、それを自覚してリスク回避の行動につなげるのは難しいものです。前述の安全運転相談ダイヤルの活用も含め、第三者の意見も聞きながら冷静に判断することが、重大な事故を防ぐカギになります。
【参照】経済産業省生産動態統計年報 機械統計編
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/seidou/result/gaiyo/resourceData/03_kikai/nenpo/h2dcd2018k.pdf
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