ADVANCEコラム

少子化問題の解決に向けた経済的支援やサービス拡充の施策について

近年歯止めがかからない少子化の背景として、子育て世代が抱く経済的な不安や、サポート体制の不足が挙げられます。国でも課題解決に向けた動きを見せていますが、検討されている施策等について確認しましょう。

 

  • 「こども・子育て支援加速化プラン」に盛り込まれた施策とは?

厚生労働省が公表した「令和4年(2022)人口動態統計月報年計(概数)の概況」によると、同年の出生数は 77 万 747 人で、前年と比較して約5%の減少となっています。合計特殊出生率(15歳~49歳の女性が産んだ子どもの数をもとに算出される指標)も1.26と低い水準にとどまり、人口維持に必要とされる2.07前後には遠く及ばない状況です。

一方で令和4年の死亡数は156万8,961人で、出生数の約2倍にのぼります。このギャップを背景とした人口減少も加速度的に進むと予測されており、産業や社会保障の衰退が懸念されます。

こうした状況に歯止めをかけるため、政府は令和6年度からの3年間を集中期間として、「こども・子育て支援加速化プラン」に取り組むことを発表しています。主なテーマと施策の例は、以下の通りです。

 

1.ライフステージを通じた子育てに係る経済的支援の強化

例:児童手当の拡充、出産等の経済的負担の軽減、医療費等の負担軽減、高等教育費の負担軽減、子育て世帯に対する住宅支援の強化

2.全てのこども・子育て世帯を対象とするサービスの拡充

例:妊娠期からの切れ目ない支援の拡充、幼児教育・保育の質の向上、全ての子育て家庭を対象とした保育の拡充、新・放課後子ども総合プランの着実な実施、多様な支援ニーズへの対応

3.共働き・共育ての推進

例:男性育休の取得促進、育児期を通じた柔軟な働き方の推進、多様な働き方と子育ての両立支援

4.こども・子育てにやさしい社会づくりのための意識改革

 

そのほか経済的不安を解消するための賃上げや、いわゆる「106万円・130万円の壁」の見直し等も施策案に盛り込まれています。出生率を好転させるためには、職場や社会全体の意識を含めたサポート体制の確立が急務です。

ただし国や自治体が主導する施策の実現に向けて、財源を確保する手段が大きな課題となっています。子育て世代および子ども世代の負担が逆に増える状況にならないか、子育て世代以外の理解が得られるかも含め、今後の動きが注目されます。

 

【参照】こども家庭庁「こども・子育て政策の強化について(試案)」

https://www.cfa.go.jp/policies/81755c56-2756-427b-a0a6-919a8ef07fb5/

 

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