今や平均寿命は男女ともに80歳を超え、セカンドライフをいかに充実させるかも人生のテーマとなっています。その一方で認知症になってしまった場合の、財産管理を心配する人は少なくありません。大切な財産を守るため、どのような対策が取れるでしょうか?
法定後見と任意後見の違い |
認知症は要介護の主な原因の一つとされ、徘徊による行方不明者などが社会問題となっています。また判断能力の低下でお金の管理や買い物、契約手続き等ができず、生活が成り立たなくなるケースも考えられます。悪徳商法といった詐欺の被害に遭う可能性も心配な点です。
こうした状況に備え、認知症で判断能力が衰えた人などを法律面で守る制度として、成年後見制度があります。制度の種類には「法定後見」と「任意後見」の2つがあり、それぞれ必要な手続きや開始タイミングが異なります。
まず法定後見は、既に判断能力が不十分な状態となった人について、本人や家族などが家庭裁判所へ申し立て、承認されれば利用することができる制度です。判断能力の程度によって「後見」「保佐」「補助」と分類され、財産管理を行う後見人等(後見人、保佐人、補助人)を家庭裁判所が選定します。
任意後見は本人の判断能力が十分な段階で、将来的に任意後見人になる人と契約を締結しておく制度です。契約は公正証書で締結され、「誰に、何を、どのように守ってほしいか」の内容が盛り込まれます。そして判断能力が不十分になった段階で家庭裁判所へ申し立て、契約内容にもとづいて任意後見が開始するという流れが一般的です。
報酬額による財産の目減りに注意 |
後見人等は認められた範囲で代理権・同意権・取消権などを行使できますが、適切な管理が行われているかチェックするため、別途監督人が選定されるケースもあります。いずれもボランティアではなく、管理する財産額や業務量に応じて報酬額を決定します。
報酬額の目安は後見人等が月額2万円~6万円、監督人がその半額程度となることが多いようです。それにより年間100万円ほどの報酬額が発生する状況も考えられ、財産の目減りを考慮しておかなくてはなりません。
なお認知症等に備えた財産管理の方法として、成年後見制度以外に「家族信託」もあります。これは財産を持つ人が信頼できる家族へ財産を預け、適切に管理・運用してもらう契約を結ぶものです。こちらは家庭裁判所への報告等が不要なため柔軟な財産管理が行える一方、信託契約を結んでいない他の家族の心証など、相続時の関係性に懸念が残ることも考えられます。
いずれにしても認知症が進行した後で「本人が財産を全く把握していない」「多額の財産を騙し取られてしまう」といった事態は避けたいものです。どの制度を活用するかも含め、早めに検討を進めた方が良いでしょう。
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