公的年金制度加入の際に発行されていた年金手帳について、現在は「基礎年金番号通知書」を発行する形に置き換えられています。今回は制度の歴史と、手帳が担ってきた役割の変化についておさらいしましょう。
■制度加入時期に応じて年金手帳の色が異なる |
公的年金制度の歴史は戦時中にまでさかのぼり、厚生年金保険の前身である労働者年金保険が、昭和17年1月に創設(適用受付開始)されました。昭和19年10月にその名称が厚生年金保険と改められ、適用範囲の拡大が順次行われた後、昭和29年5月に厚生年金保険法の全面改正が施行されています。
その後の大きな流れとしては昭和35年10月の国民年金制度創設(適用受付開始)、昭和61年4月の基礎年金制度創設(船員保険を厚生年金に統合)、平成9年1月の基礎年金番号創設(共済組合との情報共有の段階的開始)などを経て、現在に至ります。
歴史をたどれば公的年金を受け取れる国民の対象範囲変更と、制度間の情報共有を行うための仕組み作りが、順次行われてきたことが改めて読み取れます。
この流れを踏まえて年金手帳等の変遷を追うと、公的年金制度の加入手続きを行った時期に応じた被保険者証や、年金手帳が発行されていました。歴史の古い順に挙げると厚生年金保険被保険者証(昭和29年5月~昭和49年10月)、茶色の国民年金手帳(昭和35年10月~昭和49年10月)、オレンジ色の年金手帳(昭和49年11月~平成8年12月)、青色の年金手帳(平成9年1月~令和4年3月)となります。
■令和4年4月以降は「基礎年金番号通知書」を発行 |
年金手帳には基礎年金番号や当時の加入記録が記載されていますが、近年はマイナンバーと基礎年金番号の紐づけが進んだこと等により、必要性が少しずつ薄れていました。それを受けて令和4年4月以降は年金手帳の発行が廃止され、公的年金制度の新規加入手続きを行った人等に対して「基礎年金番号通知書」が発行されています。
大きな社会問題となった「消えた年金」(年金記録の不備や消失により、本来受け取れる年金額を受け取れない人が多数発生した問題)への対応策として、現在は「ねんきん定期便」などで加入記録やそれに応じた年金額を確認することが可能です。
確認によって「以前勤めていた会社の加入期間等が反映されていない」といった不備が見つかれば、年金手帳の記載内容が記録回復の決め手になる可能性もあります。制度における現在の役割が薄れているとはいえ、年金手帳は捨てずに保管しておいた方が良いでしょう。
【参照】日本年金機構「基礎年金番号・基礎年金番号通知書・年金手帳について」
https://www.nenkin.go.jp/service/seidozenpan/20131107.html
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